2020年12月4日
酪農(3)遺跡では、縄文時代後期初頭から前葉(約4,000年前)を主体とする集落と環状列石が見つかりました。環状列石のほか、竪穴建物跡4棟、土坑140基、土器埋設遺構11基、焼土37基、捨て場1カ所、落とし穴2基などが見つかりました。
環状列石は完全には石が巡らず東側と南側は途切れる部分も多いのですが、全体の配置は環状を意識してつくられたと考えられます。約50個の石から構成されており、想定される直径は約20mです。標高の最も高い地点には大きな石を組み合わせた組石遺構があり、下部には土器が埋設されたようです。西側には直線状に延びる石の列(張り出し部)があります。土器埋設遺構のうち1基は再葬土器棺墓であることがわかりました。南半部の斜面は捨て場となっており、多量の遺物が出土しました。遺構の時期は縄文時代後期初頭から前葉のものが主体ですが、中期後葉まで遡るものもあるようです。
遺物は縄文時代後期初頭から前葉を主体とする土器・石器・土偶・土製品・石製品などが出土し、通常の遺跡よりも土偶・土製品・石製品が多く出土しています。環状列石は発見されることがまれな遺構で、青森県で発見された環状列石は集落とどのような関係にあるのかわかる例は多くありません。本遺跡は他の遺構との時間的関係を検討でき、谷を挟んで対岸にある内田(1)遺跡との関係を含めて、環状列石の意味を考える上で貴重な事例です。
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組石遺構検出状況(北から)
土偶出土出状況
2020年10月13日
酪農(3)遺跡の調査区は、北側は丘陵平坦地、南側は丘陵緩斜面~急斜面地となっています。平坦地から緩斜面地では縄文時代後期前葉(約4,000年前)のフラスコ状土坑群や竪穴建物跡、環状列石(かんじょうれっせき)を、急斜面地では土器等の捨て場を確認しました。
環状列石は一重の列石で構成され、直径は約20m、形状は隅丸方形と推定されます。東半部は遺存する礫が少なく、後世の攪乱や倒木の影響によるもの、あるいは構築途中であったものと考えられます。北辺には組石(くみいし)、西辺に張り出し部が伴います。その構築に先立っては、斜面地を切土し、平坦部を造り出しているとみられます。
環状列石は通常の集落遺跡と比べると検出数が少ない遺構で、縄文人の社会構造や精神活動を示すとされています。
調査区写真(北から)
黄色丸部分が環状列石、手前はフラスコ状土坑群
環状列石
2020年10月7日
酪農(3)遺跡では主に縄文時代後期の竪穴建物跡、柱穴、土坑など様々な遺構を調査中です。
2020年6月26日
酪農(3)遺跡では巨礫を用いた配石遺構が見つかりました。配石は環状に巡っていた可能性もあります。
2020年6月5日
5月12日から遺跡の発掘調査が始まりました。