2020年12月4日
舟場向川久保(2)遺跡では、竪穴建物跡1棟、土坑墓9基、落し穴55基、土器埋設遺構1基、円形周溝1条などが確認され、弥生時代の土器や管玉(くだたま)、後北C2・D式土器、土師器、石器類などが出土しました。本遺跡は縄文時代には狩り場として利用されていたことがわかりました。
落し穴は直径が約1.5m程度の円形あるいは楕円形で、大半の底面にピットが付属します。青森県内で55基もの落し穴が調査区の縁辺上に整然と並んで確認された例はこれまでに無く、当時の狩猟のあり方を考える上で大変貴重な事例と言えます。土器埋設遺構には、底面が穿孔された弥生時代前期後葉~中期前葉の壺形土器が正位で埋設されていました。土坑墓は長軸が約1m前後の楕円形あるいは隅丸方形を呈し、底面は平坦で、溝を巡らせているものがありました。第13号土坑からは管玉が130点出土し、青森県内では外ヶ浜町宇鉄遺跡に次ぐ例となりました。管玉は全て碧玉製と考えられ、長軸方向に径1mm程の穿孔がなされており、強い規格性が感じられます。今後石材の同定や製作技法の復原、堆積土中の炭化物による放射性炭素年代測定等の様々な分析を実施し、時期等を検討していく予定です。
詳細を掲載したPDFファイルをダウンロードできます。ぜひご活用ください。【A4判3ページ 容量:約1.7MB】12月7日訂正
遺跡の全景(南から)
土器埋設遺構 土器出土状況
第13号土坑 管玉出土状況
2020年8月13日
舟場向川久保(2)遺跡の調査は7月31日に終了しました。5月からの調査で、縄文時代前期以前の円形落し穴55基、弥生時代の可能性がある土坑墓10基、弥生時代前期後葉~中期の土器埋設遺構1基、平安時代の竪穴建物跡1棟、円形周溝1基、井戸の可能性がある性格不明遺構1基などが確認されました。遺物は弥生土器や土師器などが主に出土しており、中でも特筆されるのは弥生時代と考えられる管玉が1つの土坑から約130点出土した点です。縄文時代には狩猟場、弥生時代には墓域、平安時代には居住域や墓域であったと考えられ、長きにわたり人々に使用された場所であることがわかりました。
遺跡の遠景写真です。
人が立っているところは、すべて縄文時代の落し穴と考えられます。斜面の等高線に沿って並んで作られています。
管玉の出土状況です。お墓と考えられる土坑の底面付近では特にまとまって出土しました。
大きさは1cm程度です。緑色で、碧玉製と考えられます。
2020年7月3日
6月は重機での表土除去作業が終わり、遺構の検出作業がおおむね完了しました。これまでに、竪穴建物跡、落とし穴や墓と考えられる土坑、土器埋設遺構、円形周溝などを確認しました。
竪穴建物跡と考えられる遺構には、火山灰の堆積が確認できます。
土器埋設遺構は弥生時代のものと考えられます。
精査を進めている土坑では、底面で逆茂木(さかもぎ)と呼ばれる杭の痕跡を確認しました。これらの遺構は、沢を囲むように作られた落とし穴と考えられます。
2020年5月22日
舟場向川久保(2)遺跡は5月7日から調査を開始しました。表土を掘削し、遺構を探す作業を進めています。
土坑が数基確認されました。量はわずかですが土器片も出土しています。